子どもの「社会的課題」へ地域で取り組む居場所づくり
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みなさん、プレーパークを知っていますか?
私は、長年保育士として児童養護施設や寄宿生のフリースクールなど、子どもの社会的擁護の現場で務めてきました。東日本大震災発災後、ボランティアとして宮城県石巻市に入り、子どものあそび場が姿を消したことから、2011年7月より地域の人と共にプレーパークを開催しています。
プレーパークは日本ではあまり聞きなれない単語ですが、ヨーロッパの大学では、ここで働くプレイワーカー養成の学部があるほど認知度が高く、日本でも少しずつ着目されている職業です。
プレーパークの特徴は、子どもの“やってみたい遊び”を実現できることです。大工道具が使え、カマドで火をおこし、穴は好きなところを掘りたいだけ掘るなど、日頃に経験できない遊びができます。今は姿を消しつつある泥んこ遊びもここでは日常で、この様な公園が日本にはとても必要だと感じています。週末は必ずやってきて、自分だけの秘密基地を2カ月以上つくり続けてる子もいます(笑)
「遊び場」をきっかけに「居場所」と出会う
ここは、子どもに一番身近な「遊び」が間口となり、昨年は延べ5,200人がやってきした。その中には、不登校やいじめ、虐待といった、家庭に課題を抱える子ども延360人も来所し、たわいもない会話で笑い合い一緒にご飯を食べるといった普通の経験が乏しい子どもにとって、いつも同じプレイワーカーが常駐していることが、子どもが安心して来たくなる要因の一つとなっています。
震災から9年を迎えた今、新しい道路や施設も完成し平常を取り戻しつつあります。しかし、平成30年度石巻の不登校数は247人、20歳未満の自死率は2.4%と全国平均1.5%を上回っています。そして、この数字は氷山の一角にすぎず、海の中に隠れる氷山は、教育現場や専門機関だけでは解決できないほど、課題を抱える子どもが増え続けているのが現状です。活動のきっかけは東日本大震災でしたが、震災課題と並び、社会的課題に目を向けて活動しています。先日、私のところに泣きながら中学生の子どもが飛び込んできました。親御さんとの愛着関係が希薄な家庭環境で育った彼女を、数日間我が家で預かり、一緒に料理やゲームをして過ごしました。今も辛いとき、「けろ~きいて~」と連絡してきます。彼女にとってプレーパークは第二の家なのだそうです。
彼女のような子達には、自分が暮らす地域に信頼できる大人と安心して過ごせる場所が必要なことを教えてくれています。
地域が支える子どもの居場所
現在プレーパークは、0歳の赤ちゃんから85歳までのお年寄りまで、多世代が集う場所に変化しています。
ここでは放課後来所する子どもは「ただいま~」と言ってやってきます。そして「おかえり~、おやつ焼けたよ」といって焼き芋を差し出すおじちゃんがいます。
また、平日の昼間に来所する不登校生に「学校にどうして行かないの?」とは聞かず、「ご飯一緒に食べていきなね」と声をかける地域のお母さんたちがいます。
ここに、「地域で子どもを見守り育てる」震災を経験したからこそ誕生した、石巻ならではの地域の繋がりがあります。みなさんの地域にも必要な子どもの見守りだと思いませんか?
私たちがプレーパークという「場所」をつくっても、氷山の海面下に隠れて見えづらい子どもたちを見守ることは難しいと言えます。だから私たちは、遊びという子どもにとって身近な存在から子どもが来やすい居場所をつくり続けること、地域の人とつながりながらつくり続けること、またその必要性を伝えていくことが存在意義だと感じています。
石巻には、私たちのプレーパークのような居場所づくりを行っている団体も自治体もありません。全国で子どもの社会的課題が顕在化する中、ここ被災地から「地域で子どもを見守り育てる」場所の価値が見直されています。
みなさん、始まったばかりのこの活動を一緒に考え、未来に繋げていきませんか?
けろけろ
プレーパークに行く
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