
【月刊コラム「絵画のある暮らし」】#4
こんにちは!
夏真っ只中、皆さんいかがお過ごしでしょう?
今月のコラムを担当してくださるのは
そんな真夏の太陽のようなエネルギーに満ち溢れた福井和子さんです。
絵画展準備期間も、愛情深く、思慮深く
その上、アクティブな和子さんにいつも助けられておりました。
そんな和子さんに、絵画とご縁について綴っていただきました。
素敵なお写真と共にお楽しみください♪
えりっちょ
出逢い
デサップさんの『パリ』の絵に出逢ったのは国際絵画展のスタッフとして事前レクチャーを受けていた時、なぜか素通りできず何度も振り返って観ていた。
出逢いとは 突然やって来るもの、そして、思わぬ展開が待っているから、それをご縁と言うのかもしれない。この絵に強く惹きつけられたのは、おそらく、昨年結婚した娘と歩いた街並みだったから、、、娘がこれから新しい家族と幸せに暮らしてほしいとの願いをもちながら家族4人で歩いたパリ、その絵の中に幸せな家族像が投影されていたからだろう。
同じ場面でありながら馬車の向きが違って描かれた2枚の絵のうち、私は馬車が行ってしまう構図の方を選んだ。自分が去った後でも、そこに4人家族の幸せな生活が続くことを願ったからかもしれない。
そして、デサップさんのプロフィールを伺って驚いたのは、彼の奥様は日本人女性だったということ、そんな稀なる出逢いの中で、我が家の大切なアイテムとなったのである。
そして、今、週末しか帰らない我が家のリビングで私の帰りを待っていてくれる。なぜか、その絵を観ると、遠距離であるはずのフランスが身近にあり、幸せに暮らす娘たちの生活をここから応援できるように思えるから不思議である。
ある意味、仮想『どこでもドア』のようなものかもしれない。
もう一つの絵
デサップさんの絵の隣には『赤富士』がある。
正確には、この絵の隣に『パリ』が後からやって来たわけである。日仏友好の壁かのようである。
この絵は、晩年に絵の収集が趣味の一つとなった父が友人から購入?譲り受けた?ものであり、額だけは高価らしいがそれほどの名画ではないかもしれない。
ただ、私にとっては大好きだった父の形見でもあり、我が家のリビングではサイズも大きく先輩風を吹かせている様相である。
実はデサップさんの絵の購入に際して、離れて暮らす子どもらには反対されたが、絵画展のスタッフである若者たちからの後押しがあり、石巻地域の子どもたちのためにと決断してしまった。
思えば、父も若い頃はできなかったからと晩年ぐらいは好きなことを好きなようにしてみたいと暮らしていたように想う。
絵の苦手な私
ふと考えたら、この石巻での暮らしは今年の夏で30年の節目であったことに気づいた。
初めの頃は、仕事と子育て真っ最中でなかなか文化に触れる生活はできずに過ごした。
唯一、文化の日には仙台の美術館に展示される『宮城県児童・生徒造形作品展』を家族で鑑賞することにしていた。
ある時は息子の作品、ある時は担任した子どもの作品なども展示されており、子どもの作品の魅力に触れられたことは幸せな時間であったと思う。
小学校時代の息子は絵が好きで、内緒の話だが(もう時効かと思うので)教員時代、図工の参考作品を依頼したこともあった。子どもなりに良い弟子となってくれたと思う。
上の娘もどちらかと言えば、手先が器用でカード制作などに抜群のセンスがある。そして、いつしか世界の様々な美術館巡りをするような大人になっていた。
その母である私は絵が苦手であった。それでも、自分なりに鑑賞することは大好きである。苦手でも好きがあっても良いと思いませんか?
そんなわけで、30年お世話になっている石巻での生活をさらに充実したものにしていきたいと考える今年であった。
8月の著者プロフィール
福井 和子
一男二女の母
宮城教育大学附属中学校講師からスタートし、最後は東松島市立大曲小学校にて39年の教員生活を終える。
石巻サッカー協会理事(女子委員長)や『LFCサンファンガールズ石巻』代表などを務めた。
宮城県サッカー協会技術委員会女子トレセンスタッフ
夢みる石巻実行委員
現在は、団体職員として勤務のため、仙台との2拠点生活中